グラスフェッドビーフとは
「グラスフェッドビーフ」という形でよく耳にする、グラスフェッドという言葉。ビーフは牛肉だとわかりますが、では「グラスフェッド」とは、どういう意味なのでしょうか。
グラスフェッドは英語で「Grass-Fed」と書きます。直訳すると「草のエサを与える」=「牧草飼育」を意味する言葉です。つまりグラスフェッドビーフは、広大な牧草地に放牧され、原則として、その地の牧草のみを食べて飼育された牛肉のことをいいます。
牧草の種類は、牛を飼育する地域や気候によって異なりますが、牛にとって質の良い食材であるイネ科やマメ科の植物が中心です。
ここで、「エサによって何か変わるのだろうか」という素朴な疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。実は、肉の質が変わります。
良質の植物を食べて育った牛の肉の特徴として挙げられるのが、赤身が多く脂肪が少ないこと。脂肪分の多い肉を食べると胃もたれすることがありますが、そのようなこともなく、肉本来の旨味をしっかりと味わうことができます。もちろん、高タンパクという栄養価はそのまま。しかし、脂肪分が少ない分、低カロリーです。そのため、アスリートやヘルシー志向の人々が注目し、認知度が高まってきました。
グレインフェッドビーフとの違い
グラスフェッドビーフと名前の似た牛肉に「グレインフェッドビーフ」があります。どちらもビーフ、いわゆる牛肉である点は同じですが、異なるのが飼育方法です。
グレインとは穀物のことで、トウモロコシ、ダイズ、ムギなどの穀物飼料で育てられた牛が、グレインフェッドビーフと呼ばれています。穀物飼料は高カロリーなため、早く太らせることができます。また、早く成長を促すためのホルモン剤などを付加したものも少なくありません。HORIZON FARMSで取り扱っているグレインフェッドビーフは全てホルモン剤不使用です。
そのようなエサを食べて育った牛の特徴は、脂肪が多いこと、それゆえの食感の柔らかさです。日本で出回っている牛肉の多くはグレインフェッドビーフであり、日本人に好まれている味わいといってもよいでしょう。
グレインフェッドビーフについては「グレインフェッドとは? 特徴やほかの牛肉との違いを解説」でも解説しているので、ご一読ください。
牧草のみでの飼育の特徴
ところで、牧草のみで飼育することには、どのような特徴があるのでしょうか。
ひとつは、運動量です。どういうことか説明しましょう。
エサとなる牧草を生やし、牛を放牧して育てるためには、広大な土地が必要です。牧草地には、牧草以外の食べ物はありません。となると牛は、おなかを満たすために、自ら動き回らなければなりません。必然的に、運動をすることになります。この程よい運動が、引き締まった体作りに役立つのです。
もうひとつの特徴は、エサのエネルギー量です。トウモロコシやダイズなどの穀物は、草よりもはるかに高カロリーで、エネルギー量が高くなります。それだけ脂肪分もつきやすいといえるでしょう。牛は草食動物ですから、本来、このようなエサは牛が食べるものではありません。
その点、牧草は、自然由来のエサです。安心で安全な自然の賜物で飼育される点も、牧草飼育の特徴といってよいでしょう。
グラスフェッドビーフの主な産地
グラスフェッドビーフを飼育するためには、広大な土地が必要です。そのほか、雨量や気象条件など、牧草の生育に適した環境が整っていなければなりません。主産地は、そういった条件を満たす地域といえます。
具体的には、オーストラリア、ニュージーランド、南米ウルグアイなどですが、日本でよく見かけるのは、オーストラリア産やニュージーランド産のグラスフェッドビーフです。
肉質の特徴
「グラスフェッドビーフとは」の項目でもお伝えしたように、牧草のみで育ったグラスフェッドビーフには、赤身が多く脂肪分は少ないという特徴があります。また、程よい運動をして体が引き締まっているため、実際に食べてみると、肉質がしっかりしているという印象を受けるかもしれません。
赤身が多く低脂肪な肉質の理由
グラスフェッドビーフは、牧草や干し草などの栄養を摂取して育ちます。トウモロコシや大豆、ムギなどの穀物飼料に比べると栄養源が限定され、しかも低カロリーです。そのため、脂肪分がつきにくくなります。
グラスフェッドビーフの栄養価
牧草のみで育つグラスフェッドビーフですが、栄養価はほかの牛肉に劣りません。
特筆すべきは、オメガ3脂肪酸を豊富に含んでいることでしょう。この点は、牧草の栄養を吸収しているからこそです。オメガ3脂肪酸には、中性脂肪や悪玉コレステロールを低減するほか、血流をよくして代謝アップ、炎症を抑える働きがあるといわれています。しかも、オメガ3脂肪酸は体内では合成できないため、食材から摂取すべき栄養素です。グラスフェッドビーフの場合、その量がほかの牛肉の2~5倍にも達するといわれています。
体内で合成できない栄養素といえば、必須アミノ酸のひとつトリプトファンもそうでうすが、この栄養素もグラスフェッドビーフには豊富に含まれています。トリプトファンは、精神を安定させ、睡眠の質を高める効能があるとされている栄養素です。
そのほかグラスフェッドビーフには、カロテン、ビタミンE、ビタミンB、鉄分など、植物由来の栄養素も豊富に含まれています。カロテン、ビタミンEは、ともに抗酸化作用のある栄養素で、体の老化を防ぎ、動脈硬化などの成人病予防にも効果があるといわれています。ビタミンBは疲労回復や代謝に関係しますし、貧血予防に力を発揮する鉄分も、生きていくうえでは欠かせない栄養素です。
グラスフェッドラム
日本ではあまりなじみのないラムですが、オーストラリアではポピュラーな食材です。その中でも、牧草のみで育てられているラムを「グラスフェッドラム」といいます。
グラスフェッドラムの特徴
グラスフェッドラムも、ビーフと同じように、赤身のおいしさを堪能できる肉です。アイルランド政府食糧庁 Bord Biaによると栄養面もビーフとほぼ同じで、オメガ3脂肪酸、鉄分をはじめとしたミネラル、ビタミンE、そしてタンパク質も豊富に含まれています。
グラスフェッドビーフの調理方法と味わい
グラスフェッドビーフのおいしい食べ方についても、ここで確認しておきましょう。
グラスフェッドビーフのステーキ肉
グラスフェッドビーフの食べ方に決まりはありませんが、肉らしさを感じたいのであれば、ステーキ肉がおすすめです。
通常は脂身が多いサーロインも、グラスフェッドビーフなら、くどさを感じずにおいしくいただけるでしょう。もちろん、部位はサーロインに限りません。肩ロース、リブロース、ヒレなど、どこをとってもビーフの旨味を味わうことができます。
塩とコショウを振り、無塩バターで、火加減に気をつけながら、じっくり焼いてみてください。ポイントは、ミディアム・レア以上に焼かないことです。
グラスフェッドビーフのブロック肉
グラスフェッドビーフのおいしさは、ブロック肉でも堪能できます。ブロック肉なら、煮込み料理にもよし、バーベキューにもよし、用途に合わせて自由な使い方が可能です。
まとめ - グラスフェッドビーフが注目される理由
グラスフェッドビーフとは、自然環境の中で放牧され、牧草を食べながら飼育された牛肉です。適度な運動により、身も締まっています。そのおいしさもさることながら、栄養価の高さも申し分なし。そういった理由もあり、アスリートやヘルシー志向の人をはじめ、多くの人に注目されています。
なお、HORIZON FARMSで取り扱っている「グラスフェッドビーフ」はすべて、抗生物質不使用・ホルモン剤不使用・放牧育ちであることを確認したものです。ぜひ、一度、ご賞味ください。
免責事項:この記事の内容は読みやすさを考慮し、簡潔にまとめさせていただいております。さらに深く知りたい方は、ご自身でさらにお調べいただくことを推奨いたします。