オーガニックとは? 定義や目的・メリットなど

オーガニックとは? 定義や目的・メリットなど

健康についての意識や関心が高まるにつれ、「オーガニック」という言葉をよく見聞きするようになりました。「食材はオーガニックを中心に選んでいる」という人、「生活全般でオーガニックを心がけている」という人もいるもではないでしょうか。一方で「関心はあるけれど、実態がよくわからないから……」という声もあるようです。

オーガニックとは、具体的にはどのような意味なのか、一緒にみていきましょう。

 オーガニックの基本的な定義

はじめに、オーガニックとはどういう意味なのか、その定義づけについてお伝えします。

オーガニックとは?

オーガニックとは、農畜産物の栽培や飼育方法に関する言葉のひとつです。

基本的にオーガニックでは、化学合成された肥料や農薬を使いません。土壌が持つ本来の力、植物や動物がもともと備えている外敵への抵抗力などを生かしながら、できるだけ環境に負荷をかけず、あるべき自然な形での栽培や飼育を実践します。

ちなみに、オーガニックコットン、オーガニックコスメといった使い方もされているとおり、「オーガニック」という言葉を使う対象となるのは、食品だけとは限りません。綿や麻を素材として製造される衣類、植物由来の化粧品などにもオーガニックという考え方があり、売り場に表示されるケースも増えてきました。

オーガニックと有機の違い

「オーガニックとの違いは?」とよく尋ねられる言葉のひとつが「有機」です。食品売り場で「有機栽培」と表示された商品を目にすることもあります。オーガニックも有機も、健康的なイメージのある言葉ですが、両者の違いは何なのでしょうか。

実は、「オーガニック」は日本語で「有機的な」と訳される言葉で、「オーガニック」と「有機」は同じ意味です。つまり、有機栽培であることが示されていれば、その製品はオーガニックであるということになります。

ただし、オーガニックであれ有機であれ、そのように表示できるのは、定められた基準をクリアした製品のみです。その基準については、この後の項目で詳しく取り上げます。

オーガニックの生産方法

では、オーガニックでは、具体的にどのような生産方法がとられているのでしょうか。ポイントを押さえながら、解説します。

化学肥料や農薬の使用について

野菜や果物、植物を栽培する際に使われる肥料や農薬には、化学的に合成されたものと、そうでないものがあります。肥料の場合は、前者を「無機肥料」、後者を「有機肥料」と呼ぶこともありますが、オーガニックでは、化学的な肥料や農薬を使わないことを基本としています。肥料であれば有機肥料、やむを得ずに農薬を使う場合でも、オーガニックの認証基準をクリアしているものに限ります。

もちろん、化学的な肥料や農薬も必要があって開発されたものですし、効果が実証されているものです。間違いなく、生産農家の負担軽減、収穫の安定などに寄与しているといえるでしょう。

しかし、化学的に合成されたものは、人間にとっての利便性を優先したものでもあります。近年、そういった資材を土や農産物に投与しつづけために自然環境のバランスが崩れ始め、さまざまな問題が指摘されるようになりました。実際、田畑が、植物の栽培に適さない土壌になってしまったという報告もされています。しかも、性質が変わってしまった土壌は、元に戻すことはできないともいわれているのですから深刻です。

また、化学的な肥料で育った農畜産物を食べた場合、その成分が体内に入り込むことも懸念されています。農薬を使っている場合は、洗っても落としきれない成分、いわゆる残留農薬の存在も気になるところです。そのほか、水質汚染、空気汚染、現実的な健康被害など、浮上する問題は後を絶ちません。

このような背景もあり、生産者・消費者双方でオーガニックへの関心が高まってきています。ただ、オーガニックが、肥料や薬剤をいっさい使わない栽培方法なのかというと、そうではありません。勘違いされやすい点でもあるのですが、あくまでも、「化学的なものは使用しない」ということです。この点は、次の項目で詳しくみていきましょう。

自然の恵みを活かした農法

オーガニックで実践されるのは、自然の恵みを生かした農法です。

例えば肥料なら、落ち葉や廃棄食材、米ぬか、稲わら、家畜のふんなど自然由来の素材を集めて作ったものを使います。

農薬などの薬剤は、できる限り使わないことが基本です。ただ、害虫や病気から作物を守り、収穫を確実にするためには、やむを得ないこともあるでしょう。そのような場合も、自然由来の成分で作られたもの、オーガニック基準をクリアしたものを使い、環境や健康被害が起きないような配慮をしています。

オーガニックのメリット

では、オーガニックにはどのようなメリットがあるのでしょうか。生産者の立場、消費者の立場、それぞれの立場からまとめてみましょう。

生産する側にとってのメリット

生産する側にとってのメリットとしては、大きく2点を挙げることができます。

ひとつは、生産者の健康が守られることです。

農畜産業の現場で使われる化学的な農薬の中には、防護装備などが必要なものもあります。しかし、使用方法や使用頻度によっては、健康被害をもたらすことがわかってきました。思わず知らず吸い込んでしまったり、薬剤を浴びてしまったりということもあるでしょうし、開発途上国では、無防備な状態で薬剤散布を強いられる労働者の健康被害も問題となっています。この点、オーガニックなら安全性が高くなるでしょう。

もうひとつのメリットは、オーガニックな農業生産が、地球環境の保全につながることです。

肥料や農薬は土の中に浸透していきますが、その土の中にも、多種多様な微生物が生息しています。落ち葉、生物の死骸を分解して土に還すほか、土の中の有害物質を食べて無害化をはかりながら、生態系を保ち、植物が育つ土を作り上げているのです。オーガニックで使用する肥料や農薬は、もともと自然界にあるものですから、微生物への影響は大きくありません。

しかし、化学的な薬剤や肥料は、微生物が作り上げてきた生態系に影響を及ぼします。土の質が維持できなくなり、植物の育たない土になってしまう可能性があるのです。さらに、化学的な成分が土の奥深くを流れる地下水に混入してしまうことも、問題とされています。地下水は、私たちの飲み水となるものだからです。

オーガニックには、このような問題を解決できるというメリットもあります。

購入する側にとってのメリット

購入する側にとってのメリットは、安全性が担保されることといえるでしょう。食品であれば、安心して食べることができます。

また、自然の力を利用して育てるため、食材が本来の味を損なわないことも、メリットのひとつです。一般的にオーガニックで栽培された野菜や果物は、味が濃いといわれているうえに、栄養価も高くなります。この点は、オーガニックの飼料で育った家畜の肉、乳製品にもいえることです。

オーガニックの認証と基準

ここで、オーガニックの基準について確認しておきましょう。

オーガニックという表示をするためには、定められた基準をクリアし、認証を受けなければなりません。世界にはいくつかの認証機関がありますが、日本、アメリカ、EUの認証機関について紹介します。

認証機関とその役割

日本で実施されているのは「有機JAS制度」といい、2001年に制定されたJAS法に基づいた制度です。認証機関は、農林水産省が認可する登録認証機関で、農林水産省のサイトに、その一覧が掲載されています。

役割は、有機JAS制度に則った生産が間違いなく行われているか、第三者の視点で審査することです。審査をクリアした食品のみに付与される「有機JASマーク」は、消費者がオーガニックか否かを判断する基準にもなります。

アメリカ農務省が実施しているオーガニックの認証制度は「USDAオーガニック認証」です。農畜産物のほか、お酒やタバコ、化粧品などが対象となっていいます。厳格な認証基準が設定され、製品の安全性のみならず、地球環境に配慮されているかどうかも重要なチェックポイントです。

EUが定めるオーガニック認証制度は「EUオーガニック認証」といいます。対象となるのは農畜産物やその加工品、飼料、ワインなどで、EUの政策執行機関のひとつ欧州委員会による認証制度です。農産物では、人工肥料、ホルモン剤、遺伝子組換え作物の使用禁止などが明示されています。

オーガニック認証の取得方法

日本で有機JAS認証を受けるためには、登録認証機関への申請をしなければなりません。その後、生産から出荷に至るまでの作業工程をすべて記録して提出、実地検査を受けて認証の可否が判断されます。

審査対象は、有機農産物、有機畜産物、有機加工食品、有機飼料、有機藻類の5つで、それぞれに異なる基準をクリアする必要がありますが、基本は、化学的な肥料や農薬を使っていないことです。そのほか「遺伝子組換え技術を用いていないこと」「環境に負荷をかけずに持続可能な生産を実施していること」など、農業における自然な循環機能を維持し、なおかつ増進を目指した項目が挙げられています。

例えば「土作りは堆肥などの有機肥料で実施していること」「該当の農地で栽培する2年以上前から化学的な肥料や農薬を使用していないこと」「土壌の性質を理解して生産力を高めること」といった項目をすべてクリアしなければなりません。

化学肥料や農薬の使用については、現在よりさかのぼっての基準が設けられているため、思い立ったらすぐに申請できるわけではないこともポイントとして押さえておきましょう。

畜産では、家畜本来の生育環境に配慮して飼育することも求められています。

オーガニックと無農薬の違い

最後にオーガニックと混同しやすい無農薬との違いについて確認しておきましょう。

オーガニックと有機は同じ意味ですが、オーガニック=無農薬ではありません。

無農薬とは?

無農薬とは「農薬を使用していない」「農薬を減らして栽培している」という意味合いで使われてきた言葉ですが、特に基準が設けられていたわけではなく、自己申告のような形で表示されていました。そこで現在は「特別栽培農産物」と呼ぶことを農林水産省が定め、一定の基準を設定しています。

その内容については「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」で確認できます。

なお、特別栽培農産物の基準を満たせば、農薬を全く使用しない場合は「農薬:栽培期間中不使用」、節減対象でない農薬を使用した場合は「節減対象農薬:栽培期間中不使用」の表示が可能です。

オーガニックと無農薬の選び方

オーガニック、無農薬、それぞれどのように選べばよいかについてもお伝えします。

まずオーガニックです。先ほどもお伝えしたように、オーガニックには農林水産省が主導する認証制度があります。認証を受けた製品だけに表示できるマークが「有機JASマーク」です。オーガニックな食材を購入したいのであれば、このマークがついているものを選ぶようにしましょう。

なお、有機JASマークのついた食品は、「有機農産物」「有機栽培」「有機栽培農産物」あるいは「有機」「オーガニック」と表示して販売されている場合もあります。

 

では、オーガニックと無農薬があった場合、どちらを選べばよいのでしょうか。一概に答えを決めることはできませんが、お伝えしてきたとおりオーガニック認定には、圃場の管理や栽培・飼育方法など、幅広く、なおかつ厳しい基準が設けられています。また、オーガニックは、生産現場で働く人や地球環境にも目を向けていることもポイントです。

そういった背景も念頭に置き、ご自分の考えに合うものを選ぶことをおすすめします。

まとめ - オーガニックの意義とその未来

私たちの体は、食べたもので作られています。そして、私たち人間も自然界の一部です。そう考えると、できるだけ自然な形で生産された食べ物を取り入れたいと考えるのは必然ですし、健康を保つ方法ともいえるのではないでしょうか。

地球環境の悪化が懸念され、世界的にも対策が急務となっている昨今です。そういった点でも、オーガニックは意義があるといってよいでしょう。人々の意識が高まれば、オーガニックもさらに広がっていくと予測されます。

食品を購入するときには、有機JASマーク、あるいは「有機」「オーガニック」などの表示に注目してみませんか。ぜひ、自分や家族の健康、地球環境を守っていきましょう。


免責事項:この記事の内容は読みやすさを考慮し、簡潔にまとめさせていただいております。さらに深く知りたい方は、ご自身でさらにお調べいただくことを推奨いたします。

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